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「政府の答弁」を新聞の難癖にすり替える産経コラム

「政府の答弁」を新聞の難癖にすり替える産経コラム

7月24日付の産経新聞に乾正人氏のコラムが載った。改正皇室典範をめぐり朝日新聞と共産党機関紙を批判し、旧11宮家の男系男子養子案への反対を「36から38親等の隔たり」という難癖だと切り捨てている。だが、この数字を最初に口にしたのは朝日でも赤旗でもない。政府である。

宮内庁の緒方次長は衆院議院運営委員会で、旧11宮家と天皇の隔たりを36親等から38親等、系譜が枝分かれしたのは1428年だと自ら説明した。木原官房長官も、旧11宮家を対象とした理由を1947年の皇籍離脱に求める答弁を残している。共同通信も毎日新聞も報じた、ただの国会答弁である。それを「新聞の難癖」として片づけるのは、不正確という以上のものだ。

「明治よりはるか昔から男系男子で継承」という一文も同じ調子だ。女性天皇は8人10代いる。男系ではあるが男子ではない。「男系男子」で通してきたというのは、単純に事実と違うのだ。確認できることを、確認せずに書いている。

なぜ旧宮家なのかという問いにも、コラムは正面から答えていない。答えは単純である。憲法は世襲を定め、典範は男系男子に限り、現存する男系男子は伏見宮系の旧11宮家しか残っていない。旧宮家が選ばれたのではなく、男系という条件を課した時点で他に候補が存在しなくなっただけだ。そしてその男系男子継承が実現できていたのは、側室制度があったからである。大正以降それが失われて100年、ルールだけが維持されてきた。

さらに問題のある部分に、コラムはふれていない。改正法は養子縁組にとどまらず、その子孫の継承資格まで定めた。これは衆参正副議長がまとめた「立法府の総意」になかった話で、採決では反対と棄権が2割を超えている。手続きを無視して決めた条文があるのに、コラムは親等の話だけを難癖と呼んで済ませている。都合の悪い方には触れない。これが20年一貫して男系維持を主張してきた新聞の書き方である。

「一度も変えたことのない制度」という前提も怪しい。永世皇族制は1889年、皇族ノ降下ニ関スル施行準則は1920年に定められている。近代以降、皇室制度はそのつど設計し直されてきた。確認すればわかることを、変えてこなかったかのように書いている。

世論調査では、女性天皇を「認めるべき」が7割を超え、旧宮家養子案への賛成もそれとは別に上回っている。国民は両方を支持しているのに、新聞の方が先に結論を決めて、都合の良い数字だけを並べている。問題は内容ではない。この手つきの雑さだ。同じ論調圏の世界日報は、今回の改正を「戦後レジームからの脱却」への成果だと明言している。だが成果として誇るなら、合意になかった継承規定までなぜ押し込めたのかを説明しなければならない。産経が親等の話に留めているのは、そこまで踏み込めば、この手続きの問題に行き着くからだろう。

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